みなさん、こんにちは。Bくまです。
いよいよ、2017年も残すところわずかとなりましたが、皆様いかがおすごしでしょうか。
なんだかここのところ本当に寒いですね。家の中も暖まらなくて大変。。。
これが、今年最後の投稿になりそうな(?)予感がするので、冒頭に簡単にこの一年の振り返りでもしてみようかなと思います。
(興味ないかもしれませんが笑)
ご存知の方も多いかもしれませんが、ちょうど一年前は私はまだロンドンにいて、それこそ海外にて初めての年越しを経験したものでありました。
イギリスはもう12月はずっとお祭りみたいな雰囲気があって、毎週末のようにパーティが開催されていたなと思います。
そして、年が明けて、私は大学の課題に追われ笑(冬休みの宿題ですね)
あたふたしていたら、胃腸の調子が悪くなり、病院で内視鏡検査を受けることになったりと、波乱の幕開けであった2017年。。。
でも、そのあとは一人でドイツに弾丸旅行に行ったり、CELTAを修了したり、学会のために北欧を周遊したりと本当に盛りだくさんな一年になりました。
日本に帰ってからは、修論作成のためのデータ集め、修論の執筆、その後息つく暇もなく就活をしたりしていましたが、ようやく一段楽したら、もう年の瀬が迫っておりました。
そして、この一年間大きかったと感じるのが、このブログを通しての多くの方との交流ができたということです。
一年半ほど前になるかと思いますが、それまでもブログでつまらない日常などをだらだら綴ったりしていたのですが、何か自分が持っている知識を生かせる機会はないかと思い、「じゃあ、ブログで英語学習のことについて書いてみたらいいのでは?」と思ったのがはじまりでした。
英語学習は多くの人にとって「やってみたいけど、何をすればいいのやら、、、」というタイプのたしかな情報がつかみにくいものだと思います。
ネットにはいろいろな情報があふれています。ただの体験談をもとにした学習法を売り込むものや、どこから引っ張ってきたのかわからないような情報をならべるもの、一見科学的に見えて実はだいぶ古い理論を使っているものなど、「どの学習法を信じていいかわからない」状態です。
そんな中で、そういった情報を整理し、どれが最新の理論的に裏付けられているのか、それぞれの学習法はどう取り組むのがベストなのか、結局どんな学習をすればいいのかを私が実際に携わってきた研究、読んできた論文をもとに考察しようというのが趣旨でした。つまり、なかなか一般の人の手が届きづらい英語学習の理論や研究を親しみやすいレベルに持ってきて、誰でも英語ができるようになるということを示すのがこのブログの使命だったと思います。
最初は、本当に一部の情報がほしい人がたまたま見つけて読んでくれたらいいなくらいで書いていたのですが、ここ一年くらいで、少しずついろんな方からコメントや質問をいただき、交流していく中で、自分の当初の目標が現実味を帯びてきたと思っています。 こうして、読者の方を通して広がる輪は大変私にとって貴重なものです。
読んでくださる方がいることが、このブログのモチベーションになっています。これからもどうぞよろしくお願い致します。
さて、私の振り返りはいいとして、今日は久々にリスニング以外のことを書こうかなと思います。
リスニングは私の研究をしていた領域ということもあって、最近メインで書いてきてたのですが、それもずっと続くとつまらないなと思いまして、久々のライティングです。
今日はライティングでも、皆さんに関係あるだろうというアカデミックライティングのことです。TOEFL, IELTSをはじめ、学校のエッセーなどアカデミックライティングを必要とされる機会は英語学習者に増えつつあると思います。
結局、いいライティングとは何なのかをよく理解することが大切だと思うのですが、実はIELTSみたいな試験のライティングと論文などは理想的な形が少し違ったりしますね。
こんな逸話があります。
私がロンドンにいる頃、仲良くしていた中国からの留学生がおりまして、彼女は北京で語学試験専門の予備校で講師をしていたそうです。だから当然TOEFLやIELTSのライティングの点の取り方は熟知しているわけですが、その書き方で大学の課題のエッセーを書いたら再提出にさせられたそうです。
つまり、試験で点がとれる書き方と、実際にアカデミックな場で評価される書き方は少し違うみたいなんですね(汗)
とはいえ、どちらにしても使えそうなテクニックがあるのもたしかです。
今日はその中でhedgeについてお話ししたいと思います。
ところで、普通結論を書くときってどうやって書いていますか。
たとえば「メタ認知によってリスニング理解力が上がることが示唆される」みたいな場合
It is suggested that listening comprehension can be improved by the use of metacognition.
こんな感じでしょうか?
文法的には問題ない感じがしますね。
ただ、ここでhedgeというものが問題になってきます。
hedgeというのは「全責任を押しつけられないようにするための予防線」のことです。
つまり
「メタ認知によってリスニングはあがるのだ!」と言い切ってしまうと、「あがらなかったときにどうする」という話になってしまう。
「メタ認知によってリスニングはあがる可能性があります」くらいにしておくと、波風が立たなくていいというわけです。
このような、主張を和らげる表現をhedgeといいます。
アカデミックなライティングではこのhedgeが結構求められます。
というのも、アカデミックな主張に絶対はないからです。(反証可能性というやつですね)
つまり、100%真実という主張は存在しなくて、「さしあたり、こういう結論がでます」ということしか言えないわけなのです。
したがって、hedgeを結論部分で使うことが重要だとされています。
では具体的にどうすればいいのか。
上の例をもう一度取り上げましょう。
It is suggested that listening comprehension can be improved by the use of metacognition.
この表現、英語のhedgeという観点から見てどうでしょうか?
問題なし?
It is suggestedという表現が強すぎる?
canはおかしい?
・・・
いろいろとあるかもしれませんね。
今回は一番簡単なhedge、modal verbsを使った和らげ方の紹介をします。
これは私の研究仲間が教えてくれたことなのですが、学生のアカデミックライティングを分析すると、modal verbを使ったhedgeの表現に差が結構あるそうです。
どういうことやら?という方が多いかもしれませんが、上の例で言うならcanの部分です。
つまり、推量の助動詞にあたる部分です。
随分昔にcan, will, may, might, could, wouldで推量の度合いが違うのだよ、なんて聞いたことがあるかもしれませんが、それです。
hedgeという観点から考えると、modal verbsを使ってできるかぎり「〜する可能性もあります」というニュアンスを出したいのです。
では、この場合によりhedgeらしさがでるmodal verbsはどれでしょう。
ここで、高校文法が入ってきますが、仮定法というのがありましたね。
仮定法は「ありえそうもないことを言う時の表現」、ラテン語の接続法から来てるわけですが、この「ありえそうもない」という感覚がhedgeに応用できるのです。
仮定法には過去形を使うなんてありましたが、modal verbsでいうならmight, could, wouldですね。
つまり、この三種類のmodal verbsを使うことでより控えめに主張を言うことができるのです。
私の研究仲間が教えてくれたのもこの点でした。
ある程度ちゃんとライティングの指導を受けた人はこの仮定法的なmodal verbsを効果的に使えているが、そうでない人はシンプルにcanを多用する傾向がある、のだそう。
canやwillでは推量の度合いが強すぎて、控えめにいう、即ちhedgeにならないのです。
では上の文を書き変えてみましょう。
It is suggested that listening comprehension might be improved by the use of metacognition.
こんな感じですね。
つまり、肝心な主張が来る時に、できる限り控えめな表現を使う、仮定法を用いたhedgeを使って、主張を和らげようというわけですね。
とりあえず、might, could, wouldを使うといいのはわかったけど、結局どの助動詞が一番いいの?と思われる方も多いかもしれません。
結論から言うとmightが一番無難だと思いますし、よく論文などでも見かけます。wouldはあまりないです。couldは文脈によってほどほどにでてきますね。wouldやcouldは、書き手の意志や、実行能力などその他の意味を含みやすいので、上記のような客観的な事実を述べる文章にはあまりでてきません。
*ここにwouldに関する記載がありましたが、wouldは「当然〜だ」を表す表現としても使われるため、誤解を招く可能性があるので削除しました。
一方で、あまりでてきていませんがmayはどうなのか。
mayは仮定法ではないですが、hedgeとして比較的よく出てきます。
なのでmightの代わりとして使っても可というところでしょうか。
mightとmayが主張を和らげる表現としてはベターといった感じだと思います。
こんなメリットだらけに見えるhedgeですが、不適切な場所で使いすぎるのは禁物です。
例えば、「このあと、この問題を取り扱います」という場合に
This issue would be dealt with later.
みたいにしてしまうのはNG
この場合はシンプルに
This issue will be dealt with later.
とします。
あくまでhedgeは「主張をやわらかな表現で波風立たないように言う」技法というわけです。
それ以外の場所には適しません。
というわけで本日は
アカデミックな文章を書く時にhedgeが必要なわけ
具体的にどこでhedgeを使うのか
どんな表現を使えばいいのか
を見てきました。
ちょこっとhedgeを使えるだけで、ぐっとライティングがそれらしくみえるのではないかなと
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。
本年最後の投稿になるかもしれませんが、皆様良い年をお迎えください。
いよいよ、2017年も残すところわずかとなりましたが、皆様いかがおすごしでしょうか。
なんだかここのところ本当に寒いですね。家の中も暖まらなくて大変。。。
これが、今年最後の投稿になりそうな(?)予感がするので、冒頭に簡単にこの一年の振り返りでもしてみようかなと思います。
(興味ないかもしれませんが笑)
ご存知の方も多いかもしれませんが、ちょうど一年前は私はまだロンドンにいて、それこそ海外にて初めての年越しを経験したものでありました。
イギリスはもう12月はずっとお祭りみたいな雰囲気があって、毎週末のようにパーティが開催されていたなと思います。
そして、年が明けて、私は大学の課題に追われ笑(冬休みの宿題ですね)
あたふたしていたら、胃腸の調子が悪くなり、病院で内視鏡検査を受けることになったりと、波乱の幕開けであった2017年。。。
でも、そのあとは一人でドイツに弾丸旅行に行ったり、CELTAを修了したり、学会のために北欧を周遊したりと本当に盛りだくさんな一年になりました。
日本に帰ってからは、修論作成のためのデータ集め、修論の執筆、その後息つく暇もなく就活をしたりしていましたが、ようやく一段楽したら、もう年の瀬が迫っておりました。
そして、この一年間大きかったと感じるのが、このブログを通しての多くの方との交流ができたということです。
一年半ほど前になるかと思いますが、それまでもブログでつまらない日常などをだらだら綴ったりしていたのですが、何か自分が持っている知識を生かせる機会はないかと思い、「じゃあ、ブログで英語学習のことについて書いてみたらいいのでは?」と思ったのがはじまりでした。
英語学習は多くの人にとって「やってみたいけど、何をすればいいのやら、、、」というタイプのたしかな情報がつかみにくいものだと思います。
ネットにはいろいろな情報があふれています。ただの体験談をもとにした学習法を売り込むものや、どこから引っ張ってきたのかわからないような情報をならべるもの、一見科学的に見えて実はだいぶ古い理論を使っているものなど、「どの学習法を信じていいかわからない」状態です。
そんな中で、そういった情報を整理し、どれが最新の理論的に裏付けられているのか、それぞれの学習法はどう取り組むのがベストなのか、結局どんな学習をすればいいのかを私が実際に携わってきた研究、読んできた論文をもとに考察しようというのが趣旨でした。つまり、なかなか一般の人の手が届きづらい英語学習の理論や研究を親しみやすいレベルに持ってきて、誰でも英語ができるようになるということを示すのがこのブログの使命だったと思います。
最初は、本当に一部の情報がほしい人がたまたま見つけて読んでくれたらいいなくらいで書いていたのですが、ここ一年くらいで、少しずついろんな方からコメントや質問をいただき、交流していく中で、自分の当初の目標が現実味を帯びてきたと思っています。 こうして、読者の方を通して広がる輪は大変私にとって貴重なものです。
読んでくださる方がいることが、このブログのモチベーションになっています。これからもどうぞよろしくお願い致します。
さて、私の振り返りはいいとして、今日は久々にリスニング以外のことを書こうかなと思います。
リスニングは私の研究をしていた領域ということもあって、最近メインで書いてきてたのですが、それもずっと続くとつまらないなと思いまして、久々のライティングです。
今日はライティングでも、皆さんに関係あるだろうというアカデミックライティングのことです。TOEFL, IELTSをはじめ、学校のエッセーなどアカデミックライティングを必要とされる機会は英語学習者に増えつつあると思います。
結局、いいライティングとは何なのかをよく理解することが大切だと思うのですが、実はIELTSみたいな試験のライティングと論文などは理想的な形が少し違ったりしますね。
こんな逸話があります。
私がロンドンにいる頃、仲良くしていた中国からの留学生がおりまして、彼女は北京で語学試験専門の予備校で講師をしていたそうです。だから当然TOEFLやIELTSのライティングの点の取り方は熟知しているわけですが、その書き方で大学の課題のエッセーを書いたら再提出にさせられたそうです。
つまり、試験で点がとれる書き方と、実際にアカデミックな場で評価される書き方は少し違うみたいなんですね(汗)
とはいえ、どちらにしても使えそうなテクニックがあるのもたしかです。
今日はその中でhedgeについてお話ししたいと思います。
ところで、普通結論を書くときってどうやって書いていますか。
たとえば「メタ認知によってリスニング理解力が上がることが示唆される」みたいな場合
It is suggested that listening comprehension can be improved by the use of metacognition.
こんな感じでしょうか?
文法的には問題ない感じがしますね。
ただ、ここでhedgeというものが問題になってきます。
hedgeというのは「全責任を押しつけられないようにするための予防線」のことです。
つまり
「メタ認知によってリスニングはあがるのだ!」と言い切ってしまうと、「あがらなかったときにどうする」という話になってしまう。
「メタ認知によってリスニングはあがる可能性があります」くらいにしておくと、波風が立たなくていいというわけです。
このような、主張を和らげる表現をhedgeといいます。
アカデミックなライティングではこのhedgeが結構求められます。
というのも、アカデミックな主張に絶対はないからです。(反証可能性というやつですね)
つまり、100%真実という主張は存在しなくて、「さしあたり、こういう結論がでます」ということしか言えないわけなのです。
したがって、hedgeを結論部分で使うことが重要だとされています。
では具体的にどうすればいいのか。
上の例をもう一度取り上げましょう。
It is suggested that listening comprehension can be improved by the use of metacognition.
この表現、英語のhedgeという観点から見てどうでしょうか?
問題なし?
It is suggestedという表現が強すぎる?
canはおかしい?
・・・
いろいろとあるかもしれませんね。
今回は一番簡単なhedge、modal verbsを使った和らげ方の紹介をします。
これは私の研究仲間が教えてくれたことなのですが、学生のアカデミックライティングを分析すると、modal verbを使ったhedgeの表現に差が結構あるそうです。
どういうことやら?という方が多いかもしれませんが、上の例で言うならcanの部分です。
つまり、推量の助動詞にあたる部分です。
随分昔にcan, will, may, might, could, wouldで推量の度合いが違うのだよ、なんて聞いたことがあるかもしれませんが、それです。
hedgeという観点から考えると、modal verbsを使ってできるかぎり「〜する可能性もあります」というニュアンスを出したいのです。
では、この場合によりhedgeらしさがでるmodal verbsはどれでしょう。
ここで、高校文法が入ってきますが、仮定法というのがありましたね。
仮定法は「ありえそうもないことを言う時の表現」、ラテン語の接続法から来てるわけですが、この「ありえそうもない」という感覚がhedgeに応用できるのです。
仮定法には過去形を使うなんてありましたが、modal verbsでいうならmight, could, wouldですね。
つまり、この三種類のmodal verbsを使うことでより控えめに主張を言うことができるのです。
私の研究仲間が教えてくれたのもこの点でした。
ある程度ちゃんとライティングの指導を受けた人はこの仮定法的なmodal verbsを効果的に使えているが、そうでない人はシンプルにcanを多用する傾向がある、のだそう。
canやwillでは推量の度合いが強すぎて、控えめにいう、即ちhedgeにならないのです。
では上の文を書き変えてみましょう。
It is suggested that listening comprehension might be improved by the use of metacognition.
こんな感じですね。
つまり、肝心な主張が来る時に、できる限り控えめな表現を使う、仮定法を用いたhedgeを使って、主張を和らげようというわけですね。
とりあえず、might, could, wouldを使うといいのはわかったけど、結局どの助動詞が一番いいの?と思われる方も多いかもしれません。
結論から言うとmightが一番無難だと思いますし、よく論文などでも見かけます。wouldはあまりないです。couldは文脈によってほどほどにでてきますね。wouldやcouldは、書き手の意志や、実行能力などその他の意味を含みやすいので、上記のような客観的な事実を述べる文章にはあまりでてきません。
*ここにwouldに関する記載がありましたが、wouldは「当然〜だ」を表す表現としても使われるため、誤解を招く可能性があるので削除しました。
一方で、あまりでてきていませんがmayはどうなのか。
mayは仮定法ではないですが、hedgeとして比較的よく出てきます。
なのでmightの代わりとして使っても可というところでしょうか。
mightとmayが主張を和らげる表現としてはベターといった感じだと思います。
こんなメリットだらけに見えるhedgeですが、不適切な場所で使いすぎるのは禁物です。
例えば、「このあと、この問題を取り扱います」という場合に
This issue would be dealt with later.
みたいにしてしまうのはNG
この場合はシンプルに
This issue will be dealt with later.
とします。
あくまでhedgeは「主張をやわらかな表現で波風立たないように言う」技法というわけです。
それ以外の場所には適しません。
というわけで本日は
アカデミックな文章を書く時にhedgeが必要なわけ
具体的にどこでhedgeを使うのか
どんな表現を使えばいいのか
を見てきました。
ちょこっとhedgeを使えるだけで、ぐっとライティングがそれらしくみえるのではないかなと
本日も最後までお読みくださりありがとうございました。
本年最後の投稿になるかもしれませんが、皆様良い年をお迎えください。
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